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社内FAQの作り方|同じ質問を繰り返さない、AI活用前の情報整理
「その資料は、どこにありますか?」
「この申請は、誰に確認すればよいですか?」
社内に手順書や案内資料があっても、同じ質問が特定の担当者へ集まることがあります。
資料があることと、質問に合う情報を見つけられることは別です。
探す言葉が合わない、最新版が分からない、通常の手順と例外が混ざっている。
そんな状態では、担当者へ聞く方が早いと感じるかもしれません。
社内FAQは、よくある質問に回答し、必要な資料や相談先へ案内するための入口です。
質問・回答・根拠資料をセットにし、使える条件と更新方法まで決めることが大切です。
この記事では、社内FAQを小さく作る手順と、AI検索で活用する前に整理したい項目を紹介します。
記入式テンプレートと公開前チェック表も用意しました。
社内FAQと業務手順書は、役割を分ける
業務手順書は、一つの仕事を順番に進めるための資料です。
社内FAQは、疑問に応じて必要な答えや参照先へたどり着くための資料です。
例えば、申請の手順書には、準備から入力、確認、提出までを書きます。
FAQでは「申請フォームはどこ?」「期限を過ぎたら誰へ相談する?」など、実際に出てくる質問を入口にします。
すべての手順をFAQへコピーすると、手順書とFAQの両方を更新する負担が生まれます。
短い回答に、根拠となる手順書の該当箇所を添える形も考えられます。
前回の社内に残す業務手順書の作り方では、作業の進め方と引き継ぎを扱いました。
今回は、そうした資料を質問から探しやすくする方法に絞ります。
1.繰り返される質問を、一つの業務から集める
最初から全部門の質問をまとめる必要はありません。
よく聞かれる一つの業務を選び、その範囲で質問を集めます。
資料の保管場所、社内申請の案内、定型的な社内連絡などが候補になります。
対象の範囲と利用する人を決めてください。
質問は、実際の問い合わせや、担当者が説明している内容から集めます。
記録を扱う場合は、社内の情報管理ルールに従い、個人の事情や不要な情報をFAQへ持ち込まないようにします。
| 集める項目 | 確認すること |
|---|---|
| 質問の言葉 | 利用者がどんな言い方で尋ねているか |
| 対象業務・利用者 | どの仕事で、誰が困っているか |
| 既存の回答 | 今は何を案内しているか |
| 根拠資料 | 回答を確かめられる資料があるか |
| 繰り返しの状況 | 同じ質問か、似ているが条件の違う質問か |
件数を記録していない場合は、「よく聞かれる」という実感を実測値に置き換えず、
担当者からの候補として扱います。
質問の表現が似ていても、対象部門や申請の種類が違えば回答も変わることがあります。
言葉だけでまとめず、条件を確かめましょう。
2.質問・回答・根拠資料をセットにする
FAQの回答は、短く書くだけでは不十分です。
何に基づく回答で、どの条件に使えるかが分かるようにします。
基本の形は、次の通りです。
質問:利用者が知りたいこと
回答:まず何をすればよいか
適用条件:どの業務・利用者・状況に当てはまるか
根拠:資料名、参照先、該当箇所
例外・相談先:回答だけで判断できない場合の案内
一つの項目で複数の疑問へ答えようとすると、必要な情報を探しにくくなります。
「資料はどこか」と「編集してよいか」は分けた方が、回答と権限の違いを示しやすくなります。
架空のFAQ作成例
以下は架空の会社の例です。実在する社内規程や導入実績ではありません。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 質問 | 月次報告の記入用ファイルはどこにありますか? |
| 回答 | 社内ポータルの「月次報告」ページから、指定されている現行版を開いてください。過去の添付ファイルをそのまま使わず、対象月を確認してください。 |
| 適用条件 | 指定部門の月次報告を作成する担当者 |
| 根拠資料 | 「月次報告の作成手順」の「記入用ファイル」欄。実際のFAQでは参照先と版を記載 |
| 例外・相談先 | ページを開けない、対象月が見当たらない場合は資料管理担当へ確認 |
ここではFAQが根拠資料への入口になっています。
利用者は答えを見るだけでなく、必要に応じて元の説明を確認できます。
資料がない、担当者の説明が食い違う、最新版が不明。
そんな項目は回答を確定させず、確認中として管理担当へ回します。
3.通常の回答と、個別判断が必要な例外を分ける
FAQは、質問に対する承認や判断を自動で与えるものではありません。
例えば「提出期限を過ぎたらどうする?」という質問へ、
過去の一件だけを根拠に「そのまま提出すればよい」と書くと、別の状況にも同じ判断が使われるかもしれません。
共通で案内できる手順と、責任者が個別に判断する内容を分けましょう。
| 質問の種類 | FAQでの扱い |
|---|---|
| 資料の場所や通常の手順 | 確認済みの回答と参照先を案内する |
| 利用条件によって変わる質問 | 適用条件を明記し、条件ごとの案内を分ける |
| 個別の承認や例外判断が必要 | 共通の相談手順と相談先を案内し、結論を決めつけない |
| 根拠を確認できない質問 | 回答を確定せず、確認中として管理する |
過去の対応履歴も参考になりますが、それが現在の共通ルールとは限りません。
「過去に行った対応」と「現在承認されている手順」を区別してください。
個別相談の内容を詳しくFAQへ載せる代わりに、相談時に必要な情報だけを整理する方法もあります。
4.更新担当・確認日・閲覧範囲を決める
FAQを作っても、古い回答が残れば、確認ややり直しの原因になります。
各項目に、管理担当、回答の確認者、確認日、根拠資料の版や更新状況を残します。
掲載した日と、内容を確認した日は分けて考えてください。
FAQを編集する人が内容を決められるとは限りません。
規程や業務の管理担当が回答を確認し、その後にFAQへ反映する流れを決めます。
根拠資料が変わったとき、担当者が異動したとき、同じ質問が再び増えたときは見直しのきっかけになります。
次に確認する時期も、業務の変更頻度に合わせて設定しましょう。
閲覧できる人も決めてください。全社員向けの案内、部門限定の情報、
個別案件の記録を同じ公開範囲にしないようにします。
元資料を見られない利用者へ、その内容をFAQの回答として見せてよいかも確認します。
古い項目は、現行版から外す、参照用の旧版へ移すなど、通常の検索と混ざらない扱いにします。
状態を「下書き」「確認中」「利用可」「旧版・停止」に分ける方法もあります。
社内FAQの記入式テンプレート
質問一つにつき、次の項目を埋めてみてください。
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| FAQのID・分類 | |
| 質問 | |
| 同じ意味の言い方・検索に使う言葉 | |
| 短い回答・最初に行うこと | |
| 適用条件・対象外 | |
| 根拠資料・参照先・該当箇所・版 | |
| 例外と相談先 | |
| 閲覧できる利用者 | |
| 管理担当・回答の確認者 | |
| 内容の確認日・次の見直し | |
| 状態・変更履歴 |
同じ意味の言い方を添えると、利用者の言葉と資料の名称が違う場合にも見つけやすくなります。
ただし、部署ごとに意味の違う略語は、同じものとしてまとめないようにします。
まずは少数の項目で、利用者が回答と根拠へたどり着けるかを確かめてください。
件数を増やすことより、回答の条件と管理方法をそろえることを優先します。
5.FAQを整えてから、AI検索で試す範囲を選ぶ
AIで社内情報を探せる環境を検討する場合も、最初に答えの根拠と使える範囲を整理します。
資料を登録すれば、すべての質問へ正しく答えられるとは限りません。
構成によっては、質問に関係する資料を探し、その内容をもとに回答候補を作ります。
参照先、資料の更新状況、適用条件を確認する必要があります。
最初は、一つの分類の「利用可」と確認済みのFAQなど、試す範囲を絞ります。
AI環境へ渡せる情報か、外部サービスへの送信が認められるか、誰が検索するかも先に決めてください。
検索の試行では、次のような質問を用意できます。
| 試す質問 | 確かめること |
|---|---|
| FAQと同じ表現の質問 | 対応する回答と根拠資料を示せるか |
| 同じ意味の別表現 | 言い方が変わっても適切な情報へ案内できるか |
| 似ているが条件が違う質問 | 別部門や対象外の回答を混ぜていないか |
| 個別判断が必要な質問 | 結論を決めず、相談先へ案内できるか |
| FAQに答えがない質問 | 根拠のない回答を補わず、不明として扱えるか |
社内情報の閲覧制限は、「回答に出さないで」という指示だけに頼りません。
検索対象や利用者の権限に制限を適用できる構成を選び、権限の異なる利用者で確認します。
権限の対象外の文書名や内容が回答・参照先へ出ないかも見ます。
確認中や旧版の項目を検索対象から外したつもりでも、登録済みの情報が残る場合があります。
更新・削除した内容が検索へ反映される手順も確認してください。
AI検索を導入する前に、通常のFAQ一覧や社内検索で改善できる部分を試す方法もあります。
どの方法でも、利用者が正しい情報へたどり着けるかを確かめることが大切です。
社内公開前のチェック表
この表の「公開」は、自社の利用者へ共有することを指します。
社内FAQをインターネットへ公開する前提ではありません。
| 確認項目 | 結果・修正すること |
|---|---|
| 実際の質問と、対象業務が対応しているか | |
| 一つの質問に対して回答が明確か | |
| 適用条件と対象外が分かるか | |
| 根拠資料を確認し、最新版と照合したか | |
| 個別判断を共通ルールとして書いていないか | |
| 管理担当と回答の確認者が決まっているか | |
| 確認日と見直しのきっかけが分かるか | |
| 閲覧範囲が資料の扱いと合っているか | |
| 利用者が回答・根拠・相談先へたどり着けるか | |
| 旧版や確認中の回答を、現行の案内と混ぜていないか |
結果は「確認済み」「要修正」「未確認」を分けて残します。
判断が必要な項目は、空欄を問題なしと扱わず、確認担当へ戻します。
公開後も、見つからなかった質問、回答が分かりにくかった箇所、
資料の更新漏れを集め、FAQを直していきましょう。
まず、繰り返される質問を一つ整理する
社内FAQを使える形にするには、質問と短い回答に加え、根拠資料、
適用条件、例外、更新担当、閲覧範囲までそろえることが大切です。
今日の最初の一歩は、よく聞かれる質問を一つ選び、テンプレートを埋めることです。
回答の根拠を示せない項目があれば、そこから確認を始めてみてください。
株式会社REPRESENTでは、社内に散らばる記録や資料の整理から、検索・AI環境、業務別テンプレート、
利用ルールや更新方法の整備まで支援しています。
「同じ説明を何度もしている」「必要な資料を毎回探している」。
その質問と、現在残っている資料をお聞かせください。