how-to-create-an-lp-performance-kpi-dashboardGA4+Lookerで即可視化!LPパフォーマンスKPIダッシュボードの作り方

LPサイト制作ブログ

2025.7.24

GA4+Lookerで即可視化!LPパフォーマンスKPIダッシュボードの作り方

はじめに:なぜ GA4 × Looker Studio なのか?

LP 改善はスピード勝負。広告クリエイティブや入札を変えた当日に数字を確認し、
翌日に AB テストへ反映できる体制が競争優位を生む。

GA4 はランディングページ別のスクロール・エンゲージメント・コンバージョンを“ほぼリアルタイム”
で処理でき、Looker Studio はドラッグ&ドロップでダッシュボード化できる。
特別な BI ライセンスが不要な点も制作会社・小規模事業者には大きなメリット。

2024〜2025 年にかけて GA4 には 新しい「ランディングページ レポート」 が追加され、
指標の欠損問題が大幅に解消。Looker Studio も 自動更新・ブレンドのデータ鮮度設定 が強化され、
実運用に耐えるリアルタイムモニタリングが実現した。

KPI 設計:LP で追うべき 10 指標

カテゴリ指標GA4 フィールド例目的
トラフィックLP 到達セッションsession_start + landing_page流入量
エンゲージ平均スクロール率percent_scrolled イベント“読了”把握
エンゲージEngaged SessionsGA4 標準滞在時間30秒↑ or 2ビュー↑
UXAverage LCPevent_name="largest_contentful_paint"体験速度
コンバージョンCV 数generate_lead成果
効率CVRCV ÷ LP 到達効率
効率CPA広告費 ÷ CV採算
価値売上(Revenue)purchase売上高
価値LTV 30/90 日BigQuery で計算将来価値
システムデータ鮮度GA4 / Looker meta信頼性

ポイントCore Web Vitals(LCP/INP/CLS)は GA4 のカスタムイベントで取得し、
デザイン改修の効果を即時モニタリングすることで“速度→CV”の相関を示しやすくなる。

GA4 側の準備:イベント&コンバージョン設定

  1. ランディングページ識別
    • 新しい Landing page 維度が標準化されたため、以前の page_referrer=null フィルタは不要。
  2. スクロール率
    • Enhanced Measurement の 90% スクロールだけでは不十分。scroll_depth=25/50/75/90 を GTM で送信。
  3. 速度指標
    • Web Vitals script → event_name="largest_contentful_paint" などを GA4 イベントとして送る。
  4. コンバージョン
    • generate_lead / purchase に加え、micro CV(例:PDF DL・チャット起動)を conversion ON にしてファネル分析を充実。
  5. BigQuery Export 有効化
    • ★無料版でも 24h 遅延のエクスポートに対応。高カードリナリティ問題を回避でき、Looker Studio 側での“データ欠落”を防げる。Google Cloud

データ連携:ネイティブコネクタ vs BigQuery Export

項目GA4 コネクタBigQuery コネクタ
容易さUI 2クリックSQL モデル作成
上限サンプリング・10M rows/Req無制限
フィールド追加不可(計算フィールドのみ)自由
リアルタイム最短 30 分 Googleヘルプ
高度分析◎(RFM・LTV 計算など)
料金無料スキャン量課金

結論

  • 初期検証:GA4 コネクタで十分。
  • 広告費 100 万/月↑ & 多ドメイン展開:BigQuery Export → dbt でマート生成 → Looker 接続が必須。

Looker Studio データモデル:スキーマ拡張とブレンド設計

  1. データソース作成
    • GA4 コネクタ選択 → “複数ウェブストリーム”がある場合はビュー作成時にフィルタ指定。
  2. カスタムフィールド
    • Engaged Session Rate = Engaged Sessions / Sessions
    • Scroll 50% Rate = SUM( scroll_event_50 ) / Sessions
  3. ブレンド
    • 広告費(Google Ads / Meta)データと LP 指標を Primary Key: Date で結合し “CPA” をリアルタイム計算。
    • ブレンド作成後は 最小データ鮮度 が適用される点に留意。Google CloudGoogle Cloud
  4. データフィールド更新
    • 計測更新時は「データソース → フィールドを更新」でスキーマ差分を反映。Google Cloud

ダッシュボード構築ステップ(テンプレ付き)

所要時間:およそ 60 分

  1. レイアウト
    • 1280×720(16:9)固定幅。ヘッダーにフィルタ(日付範囲・デバイス・キャンペーン)。
  2. 上段:スコアカード 6 連
    • Sessions / Engaged Sessions / Engaged Rate / CV / CVR / LCP 平均
  3. 中段:トレンド折れ線
    • Date × CVR(2軸で LCP)→ “速度が落ちた日” と “CVR 低下日” を一目で把握。
  4. 下段:テーブル+ヒートマップ
    • ランディングページ別の CVR・Scroll 50% Rate・Avg LCP。条件付き書式でヒート。
  5. サイドバー:広告効率カード
    • Media / Campaign 別 Sessions・CVR・CPA。
  6. インタラクション
    • Drill‑down:ページ→参照元/デバイスのディメンション切替え。
  7. デザイン
    • ブランドカラー+差し色 1 色。フォントは Noto Sans JP 12pt↑で可読性重視。
  8. 公開
    • “リンクを知っている全員”共有は厳禁。閲覧専用行レベルフィルタで広告代理店ごとに見せ分け。

パフォーマンス最適化:データ鮮度・自動更新・権限管理

  • レポート自動更新
    • Looker Studio Pro なら最短 1 分間隔でオートリフレッシュ。大型モニター掲示用に便利。Google Cloud
  • データ鮮度メタ情報
    • フッターに「更新:Last Refreshed {{DATA_SOURCE_LAST_REFRESH_DATE}}」を設置し“数値への信頼”を担保。
  • キャッシュ制御
    • [リソース→レポート設定→キャッシュ]で“1 時間”を推奨。BigQuery 接続時はコスト削減にも貢献。
  • 権限
    • Viewer credentials 推奨。Editor 権限を最小化し“スキーマが壊れる事故”を防止。

よくある落とし穴とデバッグ術

症状原因解決策
数値が GA4 UI と合わない異なる帰属期間 or 指標定義GA4 UI で「比較なし」状態と同じフィルタを Looker に設定し検証。
高カードリナリティで “(other)” 表示GA4 API 制限BigQuery Export へ切替。
データ更新が遅いBlended Source で Sheets 併用最も遅いソースに合わせて鮮度が決定。 Sheets を外部変数に置換。
LCP が 0(計測されない)SPA + RSC でイベント発火漏れweb-vitals ライブラリを hydrate 後に再実行。

7日間実装スプリント例

Dayタスク成果物
1KPI 定義+GA4 設定見直しKPI マップ
2GTM でスクロール/LCP 送信テストイベント通過
3BigQuery Export 有効化+dbt 雛形lp_kpi_mart
4Looker データソース&フィールド作成lp_ga4_source
5ダッシュボード 1st ドラフトURL(レビュー用)
6QA(数字照合+UX)修正リスト
7本番公開+自動更新設定モニター掲示・共有リンク

まとめ

  • GA4 のランディングページレポート+Looker Studio の強化された自動更新機能により、LP パフォーマンスをほぼリアルタイムで可視化する環境が市場標準になった。
  • 最小構成は GA4 コネクタのみで即日構築可能。スケール局面では BigQuery Export と dbt でマートを生成し、Looker でブレンド・DPA(動的広告)まで担うハイブリッドがベストプラクティス。
  • “数字を見てすぐ動く”文化を作るため、データ鮮度表記・自動更新・権限管理を徹底し、ダッシュボードを “ただのレポート”から “行動促進装置”へ昇華させよう。

今日作ったダッシュボードが、明日の LP 改善タスクを自動で教えてくれる――
その第一歩を、この記事を片手に踏み出してみてください。