what-is-the-new-standard-for-cv-measurement-in-the-cookieless-eraクッキーレス時代におけるCV計測の新基準とは?

ブログ

2025.8.29

クッキーレス時代におけるCV計測の新基準とは?

はじめに:Cookieに依存した計測の終焉

デジタルマーケティングにおけるコンバージョン(CV)計測は、
これまでサードパーティCookieに大きく依存してきました。
しかし、GDPRやCCPAといった個人情報保護規制の強化や、
ブラウザ側のトラッキング制限によって、従来の方法が通用しなくなりつつあります。
Google Chromeも2025年にはサードパーティCookieを完全廃止予定であり、
マーケターは「ポストCookie時代」に適応する新たな指標設計と計測手法を求められています。

本記事では、クッキーレス時代におけるCV(コンバージョン)計測の課題と
新基準について詳しく解説します。

従来のCV計測の仕組み

Cookieを用いたCV計測は以下のような流れで行われてきました。

  1. 広告をクリックするとユーザーのブラウザにCookieが保存される
  2. ユーザーが後日コンバージョンに至ると、Cookieを照合して広告効果を測定
  3. レポートに「広告経由のCV数」が反映される

これにより、広告のROIやCVRを正確に算出できていました。
しかし、この仕組みはユーザーのトラッキングに依存しており、
規制強化の影響を受けやすいものでした。

クッキーレス時代の課題

  1. クロスデバイス追跡が困難に
    Cookieに依存しない環境では、同じユーザーをスマホとPCでつなぐことが難しくなります。
  2. リターゲティング広告の制限
    サードパーティCookieが使えないため、過去訪問者に広告を出す仕組みが制約を受けます。
  3. アトリビューションの不正確化
    広告接触からコンバージョンまでの複数タッチポイントを追跡するのが難しくなります。
  4. 計測できるCV数の減少
    実際には発生していても、レポートに反映されない「計測漏れ」が増加します。

新しいCV計測の基準

1. ファーストパーティデータの活用

  • 自社のサイトやアプリで取得したデータを基盤に、会員IDやログイン情報でユーザーを特定。
  • 例:会員登録・購入履歴・メール開封データを統合し、Cookieに頼らない計測を行う。

2. コンバージョンAPI(CAPI)

  • Facebook(Meta)、Googleなどが提供するサーバーサイドトラッキングの仕組み。
  • 広告クリック情報と自社サーバーで記録したCVデータを直接連携し、計測精度を高める。

3. Google Consent Mode

  • ユーザーのCookie同意状況に応じて計測を制御する仕組み。
  • 同意がない場合でも、モデル化(モデリング)により統計的にCV数を推定。

4. モデル化コンバージョン(Conversion Modeling)

  • AI/機械学習を用いて、計測できなかったコンバージョンを推定。
  • 実データ + 類似傾向を学習して「本来発生していたであろうCV数」を補完。

5. アトリビューションの再定義

  • ラストクリック依存から脱却し、データドリブンアトリビューション
    (DDA)や位置ベースモデルを活用。
  • 「どの接点がどれだけ貢献したか」を推計で評価。

新基準で重要となる指標

  1. 計測可能CV数(Observed Conversions)
    • 実際に取得できたコンバージョン数。
  2. モデル化CV数(Modeled Conversions)
    • 機械学習で補完されたコンバージョン数。
  3. 合算CV(Total Conversions)
    • 実測 + モデル化を組み合わせた新しいCV数。
  4. ファーストパーティIDマッチ率
    • 会員登録やログインを通じて「ユーザーを特定できた割合」。
  5. データ損失率
    • 従来よりどれだけCVが欠落しているかを把握する指標。

実務での活用ステップ

ステップ1:ファーストパーティデータ基盤を整える

  • 会員制サイト化やログイン促進
  • CRM・MAツールとWeb解析データの統合

ステップ2:サーバーサイド計測を導入

  • Google Tag Manager Server-Side
  • Meta Conversions API

ステップ3:モデル化データを活用する

  • Google AdsやGA4の「モデル化コンバージョン」をレポートに組み込む
  • 「実測CV」「モデル化CV」を分けてモニタリング

ステップ4:指標体系を再設計

  • 短期指標:クリック数、セッション数、Observed CV
  • 中期指標:Modeled CV、CPA、ROAS
  • 長期指標:LTV、リピート率、解約率

まとめ

マーケターは「計測できないものをどう補うか」を前提に、指標設計を見直す必要がある
クッキーレス時代には、従来の「計測できたCV数」だけでは不十分
Observed CV + Modeled CV を組み合わせた「新しいCV数」が基準になる
ファーストパーティデータを中心に、サーバーサイド計測・同意管理・モデル化を活用することが必須