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2025.7.10

数字だけに頼らない!顧客インサイトの見つけ方入門

はじめに:数字の裏にある「本音」を読み解く力とは?

マーケティングや商品開発の現場では、アクセス解析や購買データなど、数字による意思決定が主流になっています。確かにデータは重要ですが、「数字に現れない本音」こそが、
購買を動かす鍵になることが少なくありません。

そこで注目されるのが「顧客インサイト(Customer Insight)」という考え方です。

この記事では、「顧客インサイトとは何か?」「どうすれば数字だけに頼らず
インサイトを発見できるのか?」について、初学者にもわかりやすく解説していきます。

顧客インサイトとは?

顧客インサイトの定義

顧客インサイトとは、「顧客自身も気づいていないような、深層の欲求や動機」のことです。

表面的なニーズやアンケート結果では見えてこない、「なぜこの商品を選んだのか?」
「何が背中を押したのか?」という心理の奥底を掘り下げることで、
新たな価値提案や商品開発につながります。

例:「靴が欲しい」の裏にある本音 → 「もっと自信を持ちたい」「第一印象を良くしたい」

データとの違い

種類特徴
データ数字に基づく事実購買率、クリック数、年齢、性別
インサイト心理的背景や隠れた動機「焦り」「期待」「恐れ」「憧れ」など

数字は結果であり、インサイトは「なぜその行動をとったのか?」という理由の発見なのです。

なぜインサイトが重要なのか?

購買意思決定は「感情」が動かす

多くの購買行動は論理ではなく、感情や無意識の動機によって引き起こされています。
数字だけを見ていては、「なぜ売れたか/売れないか」が分からないことも多いのです。

「機能が高性能だから買った」ではなく「なんとなく安心できそうだから選んだ」
というケースは非常に多い。

競合と差別化できるポイントになる

インサイトに基づいた提案は、価格やスペック以外の軸で差別化できるため、
競合に埋もれにくくなります。

たとえば、化粧品なら「美白効果が高い」だけでなく、
「鏡を見るのが楽しくなる毎朝を届ける」など、感情に訴える軸が強みになります。

顧客インサイトの見つけ方

では、どうすれば数字以外の「顧客の本音」にたどりつけるのでしょうか?
以下に5つのアプローチをご紹介します。

インタビュー(デプスインタビュー)

「なぜ?」「なぜ?」と深掘る対話形式の調査です。

  • 数人の顧客に30〜60分じっくり話を聞く
  • 購買動機、比較した商品、迷った理由、決め手を質問
  • 感情や背景を引き出すのがポイント

「何に悩んでいたか」「どんな場面で買いたいと思ったか」を聞き出す

行動観察(エスノグラフィ)

ユーザーが商品やサービスを使う現場を実際に観察する方法です。

  • Webサービスならスクリーン録画
  • 店舗なら実際の行動観察
  • 想定外の使い方や感情の変化が発見できる

SNSやレビューの分析

  • TwitterやInstagram、Amazonレビューなどに顧客の生の声が集まっている
  • 数ではなく「言葉の背景」に注目
  • ポジティブ・ネガティブ両面を見る

例:「この商品、誰かに見せたくなる」という言葉=「承認欲求」に訴求可能?

顧客のペルソナを“感情”中心に設計

通常のペルソナ設計(年齢・職業など)に加えて、

  • 普段どんな悩みを感じているか?
  • どんな瞬間に心が動くのか?
  • どんな「言い訳」で買い物を正当化しているか?

など、ストーリーで人物像を描くことが大切です。

「なぜこの選択をしなかったか?」を掘る

購入しなかったユーザーの心理を探ることで、意外なインサイトが見つかることもあります。

  • 競合に流れた理由
  • 検討途中で離脱したポイント
  • 認知後に行動しなかった動機

実際の活用事例

サブスク型お掃除サービスの事例

【Before】

  • 「定期的に掃除してくれる」サービス訴求
  • 機能や料金の説明が中心

【After】

  • インサイト:「家が片付くと、家族が笑顔になる」
  • 訴求軸を「家族の時間を増やせる安心サービス」に変更
  • 成約率が1.8倍に

健康食品の購入者インタビュー

  • 表面:「健康になりたいから」
  • 本音:「子どもに心配されたくない」「老けたくない」
  • 施策:広告に「将来のための今の選択」「家族のための健康習慣」といったコピーを採用しCV改善

インサイト活用の注意点

自社都合で解釈しない

「こう思っているに違いない」と想像で進めず、実際の声に基づいて仮説を立てることが重要。

必ずしも“多数意見”でなくても良い

顧客の本音は、必ずしもアンケートの「多数派」に現れないこともあります。
少数派でも強い感情がある意見は、ニッチで強力な訴求軸になることも。

おわりに:本音の「奥行き」を探ろう

数字は結果を示してくれます。しかし、その「なぜ?」を深堀りすることで、競合と違う視点、
心に刺さる言葉、未来のヒット商品が生まれるのです。

インサイトとは、数字の「裏にある意味」を見抜く力。これからのマーケターやクリエイターには、
感情への共感力と観察力がますます求められます。

ぜひあなたも、数字だけに頼らない“本音マーケティング”を始めてみてください。