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2025.9.4

目的に応じたKPIツリーの作り方

はじめに:KPIツリーとは何か?

ビジネスの現場では「目標を数値で管理すること」が必須です。
そのために欠かせないのが KPI(重要業績評価指標) の設計。
しかし、いきなり「KPIを決めよう」と言われても、何を基準に選ぶべきか迷う人は多いでしょう。

ここで役立つのが KPIツリー です。KPIツリーとは、最終的なゴール(KGI:重要目標達成指標)から、段階的に必要な数値を枝分かれさせて設計するフレームワークです。まるで「木」のように、根(目的)から幹(KGI)、枝(KPI)が広がっていくイメージで整理します。

この記事では、目的に応じたKPIツリーの作り方を基礎から実践まで詳しく解説します。

KPIツリーの基本構造

1. ゴール(KGI)

KGI(Key Goal Indicator)は、最終的に達成すべき成果を表す指標です。
例:売上高、契約件数、LTV、利益率

2. KPI(Key Performance Indicator)

KPIはKGIに貢献するための中間指標です。
例:CVR、CPA、UU数、リピート率

3. 施策レベルの指標

さらにKPIを分解し、「何をすればKPIが改善するのか」を示す指標を設計します。
例:広告クリック率(CTR)、メール開封率、直帰率

KPIツリーは、「KGI → KPI → 施策レベル指標」という 因果関係の見える化ツール なのです。

KPIツリー作成のステップ

ステップ1:目的を明確にする

まずは「何のためのKPIなのか」を明確にします。

  • 売上拡大?
  • コスト削減?
  • 顧客満足度向上?

目的があいまいだと、ツリーが複雑化して「管理のための管理」になってしまいます。

ステップ2:KGIを設定する

KGIは必ず 経営目標や事業目標と直結する指標にします。

  • ECサイト:売上高
  • SaaS:月間MRR(継続課金売上)
  • 広告代理店:顧客契約数

KGIは「最終的に上司や経営陣に報告する数字」とイメージすると分かりやすいです。

ステップ3:KPIをブレイクダウンする

KGIを達成するための要因を洗い出し、数値化します。

例:ECサイトの売上

売上 = 訪問者数 × CVR × 平均注文単価
  • 訪問者数 → 集客施策(SEO、広告、SNS)
  • CVR → サイト改善(UI/UX、LP、ABテスト)
  • 平均単価 → クロスセル、アップセル施策

このように、分解した数式がそのままKPIツリーになるイメージです。

ステップ4:KPI間の関係を見える化する

KPIは単独ではなく「つながり」で管理するのがポイントです。

  • 訪問者数を増やしても、CVRが下がれば売上は伸びない
  • 平均単価を上げても、リピート率が下がればLTVは低下する

KPIツリーを図解することで「どの数字を優先して改善すべきか」が一目で分かります。

ステップ5:目的ごとにKPIツリーを最適化する

KPIツリーは目的によって構造が変わります。

目的別KPIツリーの事例

1. 売上最大化を目的とした場合

KGI:売上高

  • KPI1:新規顧客数
    • 指標:セッション数、CVR、CPA
  • KPI2:既存顧客売上
    • 指標:リピート率、平均購入単価、購入頻度

新規と既存を分けることで「どちらが伸び悩んでいるか」が分かります。

2. コスト最適化を目的とした場

KGI:利益率

  • KPI1:広告費対効果(ROAS)
    • 指標:クリック単価(CPC)、CVR
  • KPI2:運用コスト
    • 指標:人件費、システム費用

成果を上げつつコスト削減できているかを可視化。

3. 顧客体験改善を目的とした場合

KGI:顧客満足度(NPS、CSAT)

  • KPI1:問い合わせ対応時間
    • 指標:初回応答時間、解決率
  • KPI2:プロダクト利用率
    • 指標:アクティブユーザー数、継続率

売上だけでなく「体験の質」を追うKPIツリーです。

KPIツリー活用の実践ポイント

1. 全体像を常に確認する

枝葉に入りすぎず、KGIとのつながりを意識。

2. 数字は「測れるもの」に絞る

抽象的な指標(例:顧客の好感度)ではなく、定量的に測れる指標を選ぶ。

3. 優先順位を明確にする

全てのKPIを追う必要はなく、KGIに最も影響を与えるものを優先する。

4. 定期的に見直す

市場や事業環境の変化に応じてKPIツリーもアップデート。

KPIツリーを作るのに役立つツール

  • Googleスプレッドシート / Excel
    簡易的に表形式で整理できる。
  • Lucidchart / Miro
    ツリー構造を図でわかりやすく作れる。
  • Looker Studio / Tableau
    KPIツリーをデータ可視化してダッシュボード化。

まとめ

  • KPIツリーは「目的 → KGI → KPI → 施策指標」を分解するフレームワーク
  • 売上、コスト、顧客体験など、目的ごとにツリー構造は異なる
  • 数字の因果関係を可視化することで「どこを改善すればいいか」が明確になる
  • KPIツリーを使いこなすことで、現場のアクションと経営目標をつなげられる