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株式会社REPRESENT(レプリゼント)ブログサブスクリプションモデルでLTVを伸ばすオンボーディング戦略:離脱を防ぎ、定着を促す決定打とは?
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2025.6.8
サブスクリプションモデルでLTVを伸ばすオンボーディング戦略:離脱を防ぎ、定着を促す決定打とは?

「登録はされたけど、すぐに解約された」
「無料トライアル後の本契約率が低い」
「使ってくれない=価値を感じてもらえない」
――このような悩みを抱えるサブスクリプション型ビジネスは少なくありません。
本記事では、LTV(顧客生涯価値)を最大化するためのオンボーディング戦略を、BtoC/BtoBどちらにも通用する形で体系的に解説します。
なぜオンボーディングがLTVに直結するのか?
オンボーディングとは、新規顧客がサービスの価値を正しく理解し、使いこなすようになるまでの導入プロセスのことです。
LTV(Life Time Value)は次の3つで構成されます:
LTV = 平均単価 × 購入頻度 × 継続期間
この中で、**「継続期間」に最も大きな影響を与えるのが“初期体験(オンボーディング)”**です。
初期の90日が勝負
- SaaSの世界では「最初の90日で解約する顧客は全体の50〜60%」というデータも。
- 特に「最初の7日間」で“何もせずに放置”されると、復帰率は著しく低下します。
オンボーディング設計における5つの基本原則
原則①:最初の成功体験(Quick Win)を最速で提供する
- 「登録してよかった」と思わせる“実感”が必要
- 導入後すぐに得られるベネフィットを1つに絞って設計する
例
タスク管理ツールなら「1つタスクを登録 → 通知が来る」までの体験をまず案内
原則②:「次に何をすればいいか」が常に明示されている
- ユーザーが迷うと離脱する
- 導入ステップ・初期設定・最初のアクションを“順番化”する
UI上に進捗バー/ToDo形式でガイドを出すことで、心理的ハードルを下げる
原則③:パーソナライズされた導線設計
- 一律の説明では刺さらない
- 登録時の属性(業種/目的/利用レベル)に応じて、出す情報やサポートを変える
BtoB SaaSでは、業種別オンボーディングメールの開封率が1.8倍以上に改善した事例も
原則④:マルチチャネルで継続的に接点を持つ
- 初回ログイン後も、メール・プッシュ通知・LINE・チャットなどで段階的にフォロー
- “使ってない人”にだけ出すメール/“使いこなしてる人”向けのステップアップ提案
原則⑤:サポート体制・自己解決導線をセットで用意
- よくある質問の「見つけやすさ」が継続率を左右
- 導入ガイド・チュートリアル動画・有人チャットなどを整備
サブスク型ビジネスにおける代表的なオンボーディング施策
フリートライアル中の“価値実感”演出
- 例:残り日数のカウント+成果の可視化
- 「あなたの活動で〇〇件の分析が完了しました」
- 無料期間終了前に、1クリックでプラン比較・申込み可
チェックリスト形式の「初期設定ガイド」
- 設定項目を“タスク”として一覧化し、完了するごとに✓がつく
- 達成感 × 段階的習熟 がLTV伸長に寄与
ステップメールによる自動ナーチャリン
- 登録初日→3日後→7日後→14日後→30日後のように設計
- 初心者向け→活用Tips→他社事例紹介→活用拡張案内など段階的に“ハマる”導線
使い方提案型ポップアップ
- ログイン後に「あなたにおすすめの使い方」ポップアップ表示
- 利用履歴に基づいて“次のステップ”を提示
オンボーディング成功事例
◉ BtoC事例:Spotify
- 初回登録後、好きなアーティストを5人選ばせて、即パーソナライズされたプレイリストを提供
- 早期離脱防止と“レコメンド精度”への信頼獲得を同時に実現
◉ BtoB事例:Notion(ノーション)
- 初回ログインで「あなたの目的は?」を質問 → カスタマイズされたテンプレートを自動表示
- 動画チュートリアル・ツアーもその目的に応じて分岐
◉ SaaS系:Slack
- 「はじめにやるべき3ステップ」をツール内でポップアップ誘導
- 実際に送信・返信・絵文字反応するまでの行動を促すことで“使える感”を高める
オンボーディングでLTVを最大化するKPIと分析ポイント
指標 | 目的 | ベンチマーク例 |
---|---|---|
アクティベーション率 | 初回利用→最初の成功体験まで到達した割合 | 30〜50%以上 |
Day7/Day30リテンション率 | 登録後1週間・1ヶ月で利用継続している割合 | 25〜40%以上 |
オンボーディング完了率 | 初期ガイドや設定をすべて完了した人の割合 | 40%以上が目標 |
サポート接触件数 | 自己解決が多ければ◎。多すぎればUI改善の兆候 | 減少傾向ならOK |
オンボーディング段階での“詰まり”をKPIで特定し、改善を回すことがLTV最大化への第一歩。
オンボーディング設計における失敗パターンと注意点
説明過多で“読む気”をなくす
→ 動画、イラスト、チェックリストなど「見せ方」を工夫する
フローが“自分ごと化”されていない
→ 利用目的・職種・利用頻度によって、シナリオを分岐
サービス内だけで完結させようとする
→ メール、LINE、カスタマーサクセス(CSM)など外部接点と連携
まとめ:LTVを左右するのは「使われ始めたかどうか」
オンボーディングは、商品が“使われる”前に離脱されないための、最初で最大の山場です。
- ユーザーの不安を“解消”し、
- 価値を“実感”させ、
- 習慣化まで“導く”
このプロセスを仕組み化することが、LTVを1.5倍、2倍と伸ばす起点となります。