why-cant-i-remember-enough-to-take-notesノートを取るほど覚えられないのはなぜ?―「書いているのに身につかない」人が見落としていること

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2025.12.23

ノートを取るほど覚えられないのはなぜ?―「書いているのに身につかない」人が見落としていること

「こんなに書いたのに覚えていない…」

・ノートはびっしり埋まっている
・色分けもして、きれいにまとめた
・でもテストや実践になると出てこない

そんな経験はありませんか?

多くの人は、この状況になるとこう思います。

「もっと丁寧にノートを取らなきゃ」
「書く量が足りないのかも」

ですが、実はその逆。

ノートを取るほど覚えられない人ほど、
“書き方”ではなく“使い方”に問題があります。

この記事では、

  • なぜノートを取るほど記憶に残らないのか
  • 脳が「覚えたつもり」になる仕組み
  • 本当に記憶に残るノートの考え方

を、学習心理学の視点から解説します。

ノートを取る=覚える、ではない

まず大前提として、
ノートを取ること自体に、記憶定着の効果はほとんどありません。

え?と思うかもしれませんが、これは研究でも明らかになっています。

ノートを取っているとき、脳で起きていること

多くの場合、ノートを取る行為は

  • 聞こえた内容を書き写す
  • スライドをそのまままとめる
  • 情報を整理することに集中する

= **「情報処理」ではなく「情報転写」**になっています。

この状態では、脳はこう判断します。

「これは“理解”じゃなくて“作業”だな」

その結果、記憶として深く保存されません。

ノートを取るほど覚えられない最大の理由

「受け身」になっているから

覚えられないノートの共通点は、これです。

自分の頭を使っていない

・先生の言葉を書いている
・本の内容をまとめている
・正解を書き留めている

一見、学習しているように見えますが、
脳は「考える」より「処理する」モードになっています。

記憶に残るのは、

  • 思い出そうとしたとき
  • 間違えたとき
  • 自分の言葉に変換したとき

つまり、ノートが“思考の結果”になっていないと、覚えられないのです。

「きれいなノート」が記憶を邪魔する理由

意外ですが、
きれいなノートほど、覚えられないケースは多いです。

なぜか?

きれいにまとめているとき、脳はこうなります。

  • 見た目に満足する
  • 整理できた気分になる
  • 「理解したつもり」になる

これを心理学では
流暢性の錯覚(Illusion of Fluency)と呼びます。

見やすい=理解できた
書けた=覚えた

という錯覚です。

しかし実際には、
思い出す力(検索力)はほとんど鍛えられていません。

覚えられないノートの典型パターン

パターン①:全部を書こうとする

重要・不要の判断がなく、
情報量が多すぎて脳が処理を放棄する。

パターン②:後で見返す前提

「あとで見ればいい」は、
脳にとって「今覚えなくていい」という合図。

パターン③:正解だけを書いている

間違えた思考プロセスが残っていない。

パターン④:ノート=完成品だと思っている

使われないノートは、ただの記録で終わる。

覚えられる人は「ノートの役割」を勘違いしていない

覚えられる人は、
ノートをこう捉えています。

ノートは
覚えるための道具ではなく、
思い出す練習をするための道具

つまり、

  • ノートを書く → ゴール
    ではなく
  • ノートを使って思い出す → ゴール

という発想です。

記憶に残るノートに変える3つの考え方

① ノートは「白紙」を作るために書く

全部書かない。

  • キーワードだけ
  • 図だけ
  • 空欄を多く残す

後で、

「これ何だっけ?」

と思い出す余地を作ることが重要です。

② 「質問」をノートに書く

覚えられる人のノートには、
答えより質問が多い。

  • なぜこうなる?
  • これは何と違う?
  • ここが分からない

質問は、脳に検索を促す最高のトリガーです。

③ 間違えた跡を消さない

  • 間違えた考え
  • 勘違いしていたポイント

これを残すことで、

「なぜ間違えたか」

という深い理解が生まれます。

ノートを取らない方が覚えられる場合もある

実は、

  • 音読
  • 口に出して説明
  • 白紙に書き出す
  • 問題を解く

こうしたアウトプット中心の学習の方が、
記憶定着率は高いことが多いです。

ノートはあくまで補助。

「ノートを取っているから勉強している」

という状態になっていたら、一度手放してみるのも有効です。

「覚えられない=能力が低い」ではない

最後に、最も伝えたいことです。

ノートを取っても覚えられないのは、

  • 頭が悪いから
  • 記憶力がないから

ではありません。

覚えられない方法を、
一生懸命やっていただけ
です。

やり方を変えれば、誰でも記憶の残り方は変わります。

まとめ:ノートは「書くもの」ではなく「使うもの」

最後にまとめます。

  • ノートを取るだけでは覚えられない
  • 受け身の転写は記憶に残らない
  • きれいなノートは錯覚を生む
  • ノートは思い出す練習のために使う
  • 質問・空白・間違いが記憶を強くする

キャッチコピー

ノートを取るほど覚えられないのは、
書いているからじゃない。
思い出していないからだ。